懐かしき青春を思い出してしまう – くちびるに歌を

読みました。

昔から乙一さんが書いている本が好きで、最近新しい本を書かないなぁと思っていたらペンネームを変えて書いていたとは。。。中田永一さんとして書いている本を初めて読んだが、白乙一が書いているような爽やかな綺麗な本だという印象。予備知識も何もなしに読みだしたので、Nコンで歌われる歌として「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」の歌詞が出てきて、この歌はそういう歌だったのかとびっくりした。

白乙一さんらしく、文章が綺麗で上手くまとめられていてすごく読みやすかった。合唱部の青春というのは僕は味わったことが無いわけだが、男女共学で一つの目標に向かって進んでいくのは楽しいんだろう。「夜のピクニック」を読んで以来久しぶりにこんな青春を味わっておけばよかったかなと思えた作品。

人が死なないミステリー – カササギたちの四季

読んだ。ミステリーといえば人が死んだり、攫われたり、監禁されたりするみたいな物騒な話が多いが本作品はそんなことはない。人が死なないミステリーとは上手く言ったなと思える。登場人物の憎めない、人間臭い描画が非常に良く、道尾秀介さんらしい綺麗なオチの付け方も素晴らしいと思う。

人が死なないミステリーといえば、氷菓 (角川文庫)が有名だけど、最後の最後に道尾秀介さんらしいひねりが加わっているので僕としてはこっちのほうが好きだ。

肩の力を向いて読みたいミステリー – 仮面病棟

ざっくり言うと「強盗犯が病室に立てこもって患者と医者を監禁する」という話なのだが、話が進むにつれて少しづつ暴かれていく犯人の目的の描写が秀逸。

なぜこの強盗を犯したのか?なぜこの病院に来たのか?なぜ女性を銃で撃ったのか?

伏線の貼り方がわかりやすく肩の力を抜いて軽く読む本としては非常に面白い本だと思う。しかし、帯の煽り文句が煽りすぎていて期待が高すぎたせいか、読みながら予想した落ちを上回ってはくれなかった。驚愕といえるほどではないが何も考えずに読めば面白いのではなかろうか。

集団的自衛権を考える上でも読んでみて欲しい一冊 – 教団X

西かなこさんや又吉さんなど著名人が今読むべき本をあげるとしたら?という問いに揃って答えているので興味をそそられて読んでみた。物語の内容を一言で言うのであれば「新興宗教の末路にまつわる人間模様」を描いた本だと思う。新興宗教を描いた本だけにこの本では宗教の話が色々登場する。人はなぜ生きていくのか?運命というものは存在するのか?神は存在するのか?そういう疑問を読者に投げかけ、宗教戦争の裏で行われているであろう国や企業による利益を得るための暗躍についてメスを入れている。

宗教は人間に何をもたらすのだろうか?宗教は人間が人間らしく幸せに生きていくために存在するものだと僕は思っている。周りの人間との不協和音を取り除き、自分がより高みに成長するために存在するものなのだろう。しかし、戦争のほとんどは宗教が絡んでいると言われていたりもするというこの現状を考えると幸せになるために信仰する宗教が人々を不講師にしているというのはなんという不幸なのだろうか。

人間は本能的に死を恐れる。人は死ねば無になるのだろうか?それとも死後の世界というものが存在しその人が生きてきた人生によってその後が決まるのだろうか?死んで戻ってきた人間がいない限り死後の世界に触れることはできず、全くわからない未知なる恐怖として人間には死というものが生きている限りまとわりつくのだろう。死の恐怖の軽減のためにも宗教というものは役に立っているのかもしれないが、僕は狂信的に信じている宗教も存在しないためどれだけ軽減されるのかはわからない。生きているということは一歩づつ死に近づいているということだと硯上さんも言われているが市に近づけば近づくほど人間は救いを求めて宗教に走るのかもしれない。

アマゾンのレビューでは出来損ないの官能小説だという辛辣なコメントも記載されていたが僕はそうは思わない。人間が人間であるためにもう一度自分というものを振り返るうえで様々な疑問を呈してくれる面白い本だと思う。このレビューを書いている今この時間でもどこかで宗教戦争が起こり、僕よりも若い多数の命が散っているのだろう。その人達は宗教など関係なく生きるために戦争をしているのかもしれない。しかし中には狂信的に信じている宗教のために、自分が信じる神のために戦争をしている人間もいるのだろう。人間はいつか死ぬ。僕もいつかは死んでいくわけだが、のうのうと生きていき信じる神も存在せずに死んでいく僕と、神のために死んでいく人間はどちらが幸せなんだろうか?答えは出ないだろうし全く意味が存在しない問いかけなのかもしれないが、考えずにはいられない。

この本では結論として戦争は望んでいない。作者は戦争を憎んでいるだろうし、手のひらで転がしている国や企業が全てなくなればいいと思っているように感じ取れる。今の日本が掲げている平和というものを憲法が改正しようとしているこの時にもう一度考えなおす意味でも読んでみるといいのではなかろうか。

頑張ってもがいている人間を馬鹿にすることは格好悪い – 何者

「朝井リョウと加藤千恵のオールナイトニッポン」を聞き出して、朝井リョウのイカれた人格とサービス精神に惹かれてこの人が書く本はどういうものだろうと思って読んでみた。話の中身は一言で言うと「就活生の葛藤」なんだけど、読んでいて決してグロテスクな表現が出てくるわけでもないのに吐き気がしてくる本は久しぶりに読んだ気がする。いを鷲掴みにされて絞り上げられているような、心の奥底に誰もが持っているけど普段は隠している暗い部分、どす黒い部分をオブラートに包まずに容赦なく突きつけてくる。

自分が自分として確固たる信念で生きて行けている人間はほとんどいないと思う。苦悩、葛藤があり、周りにいる少しだけ自分よりも低く見える人間を馬鹿にしながら心の平穏を保っている。がむしゃらにあがくことすらもせずに、頑張っている人間と少しだけ距離を起き冷ややかな目線で「こいつらとは違う」と考える。頑張ることはダサいと思い、頑張っている姿を馬鹿にして自分が頑張っていないことを肯定するための材料とする。グラグラな自分をなんとか安定させようとつっかえ棒として使う人間は多いのではないだろうか。

この本ではグラグラな自分を隠さずに書かれている。ラジオを聞いている限り浅井さんは主人公よりの人間ではなかろうかと思う。そんな浅井さんが「頑張っている人間を馬鹿にするカッコ悪さ」を書いているのだから言葉の一つ一つが非常にリアルで気持ち悪い。この本を読んで吐き気がしたということ自体が、僕も浅井さん側の人間であることの証明なのかもしれない。

小学生の頃の葛藤と成長を思い出した一冊 – 漁港の肉子ちゃん

西かなこさんが出演していたラジオを聞いてこの人が書く物語はどういうものだろうとずっと気になっていた本。やっと読み終わることができた。この本は「お人好しの肉子ちゃんと子供の1年間の生活」を描いた作品なのだが、出てくる登場人物の描き方が非常に面白い。中村航さんの本を最初に読んだ時も思ったのだが、この人達が描き出す話というのは一見なんのへんてつも無い日常も素晴らしい話へと変わっていく。

小学生の時の自分は小さな町を世界の全てで、小学校にいる人間、しいて言えばクラスの人間が全人類と等価だった。小学校で嫌われないように振る舞い、ここで嫌われたら世界の人類全てに嫌われていると錯覚してしまいそうなほど小学生のときの小学校というのは日常の全てだった。その記憶を掘り起こしながら大人になったら大したことじゃないことで悩み苦しみ生きていたあの頃にちょっとだけ鑑賞に浸ることができた。

この作品を小学生の時に読んでもわからないだろう。ちょっと成長して自分の世界が広がった後に昔を思いながら読むと懐かしく温かい気持ちになれるんじゃなかろうか。自分の子供が小学生になった時にもう一度読みなおしてみたいものだ。

生々しい人物描画で思わず嫌悪感を覚える一冊 – 殺意に至る病

簡単に話をまとめると「猟奇殺人犯とそれを追いかける元警察官と猟奇殺人犯の母の複雑に入り乱れる心情を描いた作品」となるんだが、この心情の描き方が非常にリアルでエグい。殺人を神聖な行為だと勘違いし自分に陶酔していく殺人犯。元警察官の葛藤。自分の子供が殺人犯ではないかという疑いが段々と強くなっていく母親。全てが緻密に描画されており臨場感が強いため読んでいて嫌悪感を覚えるほどにすごい。

僕の年齢まで来ると自分の子供がもし殺人犯だったらという目線になってしまい、母親に感情移入して読んでしまった。自分の子供が殺人犯になったら僕は一体どういう行動を取るのだろうか。信じたくはないし、信じられないんだろうが、もし本当に殺人犯だったのであれば次の強行に及ぶ前に殴ってでも止めないといけない。しかしその行動を起こすということは自分の子供が殺人を犯さないという信頼を裏切るという行為にほかならない。もし間違いであったのであれば笑って流してくれるのか?それとも間違いを契機に自分の子どもとの信頼関係が崩れるのではないか?考え出せばきりがないが、殺人事件が現実で起こっているということはその殺人犯の親も存在するということで、その親に自分がならないという保証はどこにもない。もしそうなったらどうなるのか?ということをリハーサルするという意味でもこの本は読んでみるべきなのかもしれない。

最後に、一つだけ言っておきたい。この本を最後まで読めば必ずあなたは驚く。まさかそんなっと言わずにはいれないだろう。そういった驚きを求めているのであればそういった意味でもこの本はおすすめの一冊である。

「逆転力」を読んだ

読み取れたこと

  • キャラは自分じゃなくて他人に付けられるものだ
  • 付けられたキャラには全力で乗っかれ
  • 自分が勝てる舞台で勝負しろ
  • アンチは悪いことではない
  • ピンチはチャンス

感想

http://spotlight-media.jp/article/135371327043747048を読んで気になって読んでみた。テレビで見るアイドルの中でかなり異質な存在で目立っている指原さんには昔から興味があり、最近「ワイドなショー」などのコメンテータとして案外鋭い意見を出していて頭がいい子なんだろうと思っていた。でも、この本を読んで少し変わった。

若い割には知識も多いんだろうけど、そこまで突出して多いわけでもない。人生経験も壮絶と書かれているけど、そこまで壮絶なわけでもないと思う。そんな指原さんが芸能界で戦うために磨き上げた、磨き上がった力が「空気を読む力」と「客観視」なんだろう。どんな時でも自分を客観視しして、自分がどういう立場でここにいてどういう発言をすれば周りにどういう影響をあたえるかということを常に考えながら生きているんだろう。

読んだ感想としては良く言えば軽く読める、悪く言えば薄い本。大体1時間弱ぐらいで読める分量なのでちょっとした時間に読むにはちょうどいいのかもしれない。この内容を読むと5時間ぐらいアンケートしてそれを本に起こしたんじゃないかと邪推してしまう。読むなら気合を入れずに肩の力を抜いて読むのがいいんじゃなかろうか。

「たった一人の熱狂」を読んだ

読み取れたこと

  • 義理、人情、恩義を大切にしろ
  • 小さな約束でも無碍にするな
  • 熱狂できる仕事を見つけろ
  • 結果にこだわれ
  • 人はだますな
  • 安めを売るな。恩を売れ。

まとめ

http://spotlight-media.jp/article/122258070674086540を見て、興味をそそられて読んでみた。もともとすごく熱い人なんだろうと思っていたがこの本を読んでさらにその思いは強くなった。「たった一人の熱狂」というだけあって、この人はやることなす事全てに熱狂して生きてきたんだろうなと思う。

なかなか真似できない人生を歩んできているんだろうし、この人になろうとして真似しても普通の人はなかなか難しいんだと思う。そういう人だからこそこうやって本を書いて出版したりできるんだろうがここまで熱狂的な熱い文章を僕はあまり読んだことがない。1文字1文字にきっちりと魂を込めて書いているというか、確固たる自分というものを持っていて、自分の人生に絶対的なブレない価値観というものを持っていないとこんな文章は書けないんだと思う。

今日という1日は死から最も遠い日だ。1分後には、今より死に1分近づく。10分後には、今より10分死に近づく。僕は70歳で死ぬかもしれないし90歳まだ長生きするかもしれない。少なくとも今この瞬間は、死から一番遠い時間にいる。

本から抜粋したものだがこの文章が見城さんという人の生き方を一番表している文章なのではなかろうか。人はいつか必ず死ぬ。どうせ死ぬなら後悔しない人生を歩みたいと考えるのはふつうのことだろう。そこら辺を歩いている人間を捕まえて「あなたは死ぬときに後悔しないように生きたいですか?」と聞いたとして、「私は死ぬときに後悔したいです!」と答える人なんてほぼいないないだろう。大抵の人間は後悔しない人生を歩みたいと考えているものだ。

しかし、そう考えている人のなかで「あなたは死ぬときに後悔しない人生を歩めていますか?」と聞かれて自信をもって肯定できる人はどれだけいるのだろうか。どんなことにも妥協することなく、後悔しないように生きるなんてできるわけない。自分に厳しければ厳しいほど後悔はでるだろう。妥協なく自分を肯定するには毎日血反吐を吐き、これ以上に努力することは出来ないと自分が思えなければいけない。そして、今日一日血反吐を吐く努力をした次の日はそれを超える努力をする。その繰り返しができる人間こそ後悔しない人生を歩んでいると自信を持って言えるんではなかろうか。見城さんは自信をもって肯定できるように日々努力をしていて、その結果圧倒的熱狂が授かったんだと思う。

誰よりも熱く人生に熱狂しながら生きている人間が書いている文章を読める機会なんてそうそうないと思う。どこまでこの本を咀嚼して自分の中に取り込むことが出来たのかは分からないが、ここまで熱狂しながら生きている人間がいるからこそ社会は回るし人類は成長することが出来たのだろう。今までの人生を振り返ってきて、圧倒的な熱狂というものは存在せず今まで淡々と生きてきた気がする。ここまで熱狂していきたいとは思わないが少しは熱狂して生きてみるべきなのかもしれないと考えさせられた一冊だった。

「運を支配する」を読んだ

読みました。以下感想。

僕が読み取れた内容の箇条書き

  • 驕るな。自分はそんなに頭のいい人間ではない。
  • ただし、できないと悲観するな。ポジティブにやれ。
  • 運が無いと嘆くな。運は誰にでもいつか回ってくる。
  • 回ってきた時に掴み取るために日々淡々と努力して準備しておけ。
  • 運が回ってきて今が勝負だと思ったら死ぬ気で努力しろ。
  • 答えを求めるな。大抵のことに明確な答えはない。
  • いい人であれ。
  • 人に借りは作るな。貸しを作れ。
  • 失敗を悔やむな。俯瞰して失敗した原因を探れ
  • ただし、開き直るな。開き直るのは大抵の場合に悪手となる。

読み終わって思ったこと

一番心に残ったのは「物事には答えなんてない」ということ。たしかに実社会で起こる様々な問題には学校のテストのように明確な答えなんてない。人が変われば正解も変わるし、環境が変われば正解も変わるだろう。悩んだ末にたどり着く答えというのは現時点での自分にとっての最適解だというだけであって、それは絶対的な正解ではない。世の問題の答えは雲のように漂っていて見る角度や時間によって形は変わるものなのだろう。悩みに悩んだ正解もそれが絶対的に正しいということはないということを肝に命じて流動的に柔軟性を持って問題に向かい合い続けるのが大事なんだと思う。

文章的に読みやすく噛み砕いて書いてあるのでわかりやすいと思う。この間テレビを見ていて言っていたのだが大会社の社長ほど腰が低く驕らない人間が多いそうだ。自分はすごい人間だと思った時点でその人間の成長は衰退を始めるし足元をすくわれることも多くなるのかもしれない。「運がいい」というのは「勝負するタイミングを間違えない」ということだし、「運を手放さない」ということは「日々努力してチャンスを物にできる力をつける」ということなのだろう。本書でも記載されているがそう考えれば運が尽きるということはなく運は無限だ。何事にも近道はなくて近道を探せば運は遠のく。日々淡々と努力するのがあとから見ると一番の近道なのかもしれない。