頑張ってもがいている人間を馬鹿にすることは格好悪い – 何者

「朝井リョウと加藤千恵のオールナイトニッポン」を聞き出して、朝井リョウのイカれた人格とサービス精神に惹かれてこの人が書く本はどういうものだろうと思って読んでみた。話の中身は一言で言うと「就活生の葛藤」なんだけど、読んでいて決してグロテスクな表現が出てくるわけでもないのに吐き気がしてくる本は久しぶりに読んだ気がする。いを鷲掴みにされて絞り上げられているような、心の奥底に誰もが持っているけど普段は隠している暗い部分、どす黒い部分をオブラートに包まずに容赦なく突きつけてくる。

自分が自分として確固たる信念で生きて行けている人間はほとんどいないと思う。苦悩、葛藤があり、周りにいる少しだけ自分よりも低く見える人間を馬鹿にしながら心の平穏を保っている。がむしゃらにあがくことすらもせずに、頑張っている人間と少しだけ距離を起き冷ややかな目線で「こいつらとは違う」と考える。頑張ることはダサいと思い、頑張っている姿を馬鹿にして自分が頑張っていないことを肯定するための材料とする。グラグラな自分をなんとか安定させようとつっかえ棒として使う人間は多いのではないだろうか。

この本ではグラグラな自分を隠さずに書かれている。ラジオを聞いている限り浅井さんは主人公よりの人間ではなかろうかと思う。そんな浅井さんが「頑張っている人間を馬鹿にするカッコ悪さ」を書いているのだから言葉の一つ一つが非常にリアルで気持ち悪い。この本を読んで吐き気がしたということ自体が、僕も浅井さん側の人間であることの証明なのかもしれない。