生々しい人物描画で思わず嫌悪感を覚える一冊 – 殺意に至る病

簡単に話をまとめると「猟奇殺人犯とそれを追いかける元警察官と猟奇殺人犯の母の複雑に入り乱れる心情を描いた作品」となるんだが、この心情の描き方が非常にリアルでエグい。殺人を神聖な行為だと勘違いし自分に陶酔していく殺人犯。元警察官の葛藤。自分の子供が殺人犯ではないかという疑いが段々と強くなっていく母親。全てが緻密に描画されており臨場感が強いため読んでいて嫌悪感を覚えるほどにすごい。

僕の年齢まで来ると自分の子供がもし殺人犯だったらという目線になってしまい、母親に感情移入して読んでしまった。自分の子供が殺人犯になったら僕は一体どういう行動を取るのだろうか。信じたくはないし、信じられないんだろうが、もし本当に殺人犯だったのであれば次の強行に及ぶ前に殴ってでも止めないといけない。しかしその行動を起こすということは自分の子供が殺人を犯さないという信頼を裏切るという行為にほかならない。もし間違いであったのであれば笑って流してくれるのか?それとも間違いを契機に自分の子どもとの信頼関係が崩れるのではないか?考え出せばきりがないが、殺人事件が現実で起こっているということはその殺人犯の親も存在するということで、その親に自分がならないという保証はどこにもない。もしそうなったらどうなるのか?ということをリハーサルするという意味でもこの本は読んでみるべきなのかもしれない。

最後に、一つだけ言っておきたい。この本を最後まで読めば必ずあなたは驚く。まさかそんなっと言わずにはいれないだろう。そういった驚きを求めているのであればそういった意味でもこの本はおすすめの一冊である。