砂に怖がらずに最後まで読んでほしい – 砂の女

読んだ。砂の描画が怖いし痛い。

ざっくりとあらすじを書くと「砂に埋れた集落に監禁された男の話」になる。とにかく砂が出てきて目を開けられないとか、汗で砂が湿ると体に張り付いて化膿するとか、つばが砂に座れて喉が渇くとか、うがいをしても砂が残るが喉の渇きに耐えきれずに砂ごと飲むとか、砂に関わる記述が生々しくて非常に怖い。閉じ込められる恐怖と砂による追い込まれ方とわけの分からない村人との会話といい僕だったら発狂してしまいそうな状況だ。

そんな恐怖に満ち溢れた物語だけれど、読了後はなんとも言えない気分になる。今いる自分の環境は砂に埋れた集落より良いのかもしれない。しかし、僕がいる環境よりもいい環境というのはいくらでもあるだろうし、その僕よりもいい環境に住んでいる人間からしてみれば僕はなんと恵まれない人間なのかと馬鹿にされるのかもしれない。結局人間は自分が与えられた環境でいかに幸せを感じながら生きていくかでしかなく、過去でもなく未来でもなく今を楽しむのが良いのだろう。

今いる環境をどうにかしようと未来に向けて生活するのもよいが、目指すべき未来にむかうよりも楽しく幸せな現実がすぐそこに転がっているのかもしれない。現在の状況というのは自分から見れば辟易するようなものかもしれないが、他人から見れば喉から手が出るほど欲しいものかもしれない。どんな環境であれ、直ぐそばにある幸せを感じることができるアンテナを張り巡らせる方が、生活水準を向上するためにもがくよりも豊かで楽しい人生を歩めるのかもしれないと思わされた。